現在のREIT市場は既に潮目が変わっています。
次の流れや更に先を見据えた資産運用を行うためには、現在起こっている現象の元となる原因を浮かび上がらせ、REITを長期で考え組み立てる視点を持つことが重要です。
今回のセミナーは、過去の数値実績を用いてREITを多面的に考察し、REIT実務者向けにこれから必要な資産運用の考え方を紐解きます。

講師は、REITアナリスト　山崎成人氏。

1. 数値分析によるREIT市場
   REIT市場の相場趨勢を作っている投資家取引を分析し、何故このような取引を行っているのかを考察します。
   
   (1) 投資家別売買動向分析
   月単位での投資家別売買動向データを使って、投資家がどのような考え方で取引をし ているのかを考察します。
   (2) 投資家別取引口数・取引金額・取引単価分析
   投資家別の売買形態を分析することで、投資家の売買の特徴を明らかにします。
   (3) これらの分析に基づREIT相場の今後の行方
   投資資利益ではなく、資産運用の方向性と関連付けた解説を行います。
   
   
2. REIT市場の個別銘柄の評価基準
   投資家は何に因って各銘柄の評価を下しているのかを、銘柄別価格ランキング一覧表による数値分析して明らかにします。
   またREIT相場の趨勢を形成する根拠となっている指標についても改めて考察し、現在の実態に合致した新たな指標を探っていきます。
   
3. REITの資産運用のチェックポイント
   REITの商品特性を踏まえると、REITの資産運用ではどういう要素を考慮する必要があるのかをデータと指標を使って解説します。
   
   (1) NOI
   頻繁に使われる指標はポートフォリオNOI利回りですが、これは保有資産の収益性を測る指標として有効ですが、他にもNOIを使った分析指標がありますので、こ れらによって資産運用上の問題点を探ります。
   (2) デットの調達環境の変化を捨象した分析指標
   支払利息は金融環境によってかなり上下するため、巡航状態の利益率算定には使い難いので、支払利息を除いた利子支払前総資本利益率や営業利益率等で銘柄比較を行います。
   (3) 払込資本利益率
   払込資本利益率は投資法人にとっては重要な指標ですが、合併や過去に第三者割当増資（簿価以下の増資）を行った投資法人と同列には比較出来ませんので、投資家にとって判別し易い指標を探っていきます。
   
   
4. これからの新規上場と投資用途
   既に54銘柄が上場していて、新たに上場しようとしても先発銘柄の後塵を拝するのは否めません。
   こういう市場環境の中で、新規上場戦略をどう組み立てるのか、そして具体的投資用途 の選別のために、その前提となる用途別のパフォーマンスの現状を解説します。
   
   
5. 財務分析による各投資法人の分類
   個々の投資法人を見ると、意図的な財務運用を行っている投資法人と資産運用結果によ って受動的に財務内容が決まっている投資法人に分かれます。
   これは資産運用会社によって財務の考え方や理解度が異なる為だと考えられますが、他人の資金を運用しているREITで財務戦略は要になりますので、REIT の資産運用面から財務を考察し、実務に役立つ分析を行います。
   具体例として、合併に至ったトップリート投資法人の財務指標を用いて、 どのような指標に問題点があったのか、また同様の指標を持つ投資法人があるのかについてもチェックします。